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活動報告:ことばの教室でのICTを活用した先生とSTの協働実践 子どもの発達を考えるSTの会ミニグループでのご報告

 学校の言語障害通級指導教室いわゆる「ことばの教室」の授業に、当法人の言語聴覚士がオンラインで同席し、協働する取り組みの1学期間の実践が終了し、2024年7月20日、1学期間の成果を、子どもの発達を考えるSTの会内のミニグループにてご報告する機会をいただきました。



 新潟県長岡市立新町小学校で「ことばの教室」を担当されている高松敏之先生の研究「ことばの教室の教育DX:対面での「構音指導」を充実させるオンライン支援のあり方/ICTの活用で実現する家庭・教室・外部専門家が協働できる環境作り」(公益財団法人パナソニック教育財団助成による)の一環として、当法人の言語聴覚士が「ことばの教室」の授業にオンラインで同席して協働する取り組みに参加しています。


 2024年7月20日、1学期間の成果を、子どもの発達を考えるSTの会内のミニグループにてご報告する機会をいただきました。


 前半には、高松敏之先生から、今回の研究の全体像と、「ことばの教室」に来て指導を受ける頻度が少ない事例に対する実践例の報告がありました。家庭や教室で練習する様子を動画で記録したり教育用グループウェアで共有したりする環境を整えることで、教室に来ない期間も適切な支援を受けながら自宅で練習に取り組めるようにする実践について、1学期間の取り組みの内容が発表され、画期的な内容に参加者からは他の地域での活用を期待する声もありました。


 続いて、当法人からも少しお時間をいただき、1学期間に、小学校1年生から5年生までの6名のお子さんにことばの教室を通して関わらせていただいた内容について報告の機会をいただきました。


 今回の実践で、当法人は、授業への同席に加え、授業時間外に担当の先生と会議を行うこ

とで、評価内容や方針の検討を行いました。また、法人内で会議を行い、介入の適切性の維持に努めました。


・側音化構音の癖が強く練習が思うように進んでいない方

・発音が不明瞭であるが原因がはっきりしなかった方

・単語で言えるようになったもののそのあとのキャリーオーバーがうまくいかない方


 など、それぞれの担当の先生の丁寧な関りを一緒に見せていただき、評価方法や練習方法を一緒に検討して、担当の先生の教育的視点に加えて構音の専門家としてのSTの知識技術を活用することで、お一人お一人のお子さんがより目標に近づくことができたのではないかと思います。


 今回の実践では、文部科学省のGIGAスクール構想で整備された端末に加え、デジタルビデオカメラをWEBカメラとして利用することでよりクリアな口腔周辺の画像を共有する試みも行っています。


 発音に困り感のあるお子さんが、より良い学校生活を送れるよう、また、ことばの教室の担当の先生方の教室運営のお役に立てるよう、2学期も取り組んでまいりたいと思います。


 当日の発表について、子どもの発達支援を考えるSTの会の古山慎治さん(言語聴覚士 生涯発達支援オフィス ことばラボ代表)より、当法人が関わった部分に関連して、以下のようなコメントをいただきました。


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 このプロジェクトは、支援の方法やツールが単にオンラインに置き換わった、というだけではなく、”場づくり”や”協働”という意味において、画期的な取り組みだと思います。


 協働型である意義は大変大きいと思います。協働型とは「お互いの専門性を尊重しあい、より高めあい、そうすることでより大きな成果を子ども達に還元していく」あり方です。学校教育の現場でも、地域差はあるにせよ、以前より外部の人間が入りやすい流れになってきているように思います(地域の住民や外部専門家による授業、外部の専門家が部活動のアドバイザーになる等)。今回のプロジェクトは、実は「協働型の専門家人材の育成」という観点からも、大いに示唆に富んだ内容であると思います。


 オンラインでの構音指導を最大限有効にするための物理環境を提案できるというのも、大きな強みと言えます。以前に比べ、機器類も比較的安価に揃えやすくなっており、学校現場での導入もしやすくなっていると思います。


 『ことばの教室』に通える頻度が少ないケースや、あるいは教員がSTとの協働で支援の充実を図りたくても地域にSTがいないなど、そうした場合でも質の高い支援が可能になる。この意義は大変大きいと思います。北海道のメンバーからも、北海道はエリアが広く、もし今回のようなサービスが地域で展開できるとしたら本当にありがたいという旨のコメントがありました。今後の研究の進展がますます楽しみです。

 

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 少しでもご興味を持ってくださる教育機関の先生方がいらっしゃいましたら、ぜひ一緒に取組いただけましたら幸いです。


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